イタリア語には“modo di dire”と呼ばれる、独特の言い回しや表現があります。イタリア人と話をしていて、使われている単語も構文も難しいものではないのに、なんとなく意味を掴めない・飲みこめない…そんなフレーズに出会ったら、たいていそれはmodo di direだったりします。
PizzaはPizzaでも・・・?
例えば「Che pizza!」(ケ ピッツァ)。私が初めてこの言葉に出会ったのは、イタリア人一家の夕食の席に招かれたときでした。話がすすむ中で、おもむろに「Che pizza!」が耳に飛び込んできました。
Pizzaといえば、すでに日本でもおなじみですよね。その時の私も、あの熱々のチーズがのった美味しそうな円形の食べ物を思い浮かべました。
が、しかし、その言葉を発した当人の表情がどんよりしているし、どうも話の流れにも合っていない気がする…。タイミングを見計らって「ピザって、あの食べ物のピザのこと?」と尋ねたら、「いや違う、これは”うんざりしたとき”に使うフレーズなんだよ」と。
modo di direとは?
頭に“Che”を付けただけですが、だいぶ意味が変わります。
ちなみに“Che”は、英語の“what”と似た性質を持っていて、文頭で使うときには「Che cos’ è questo?」(これはなに?)と疑問文を作ったり、「Che bello!」(なんてステキ!)と感嘆文を作ったりすることができる単語です。
CheもPizzaも意味はわかるのに、何が言いたいかがわからない…。これがmodo di direです。
modo di direを使いこなそう!
初級文法を終え、語彙も増えてきたころに遭遇し、混乱させられるという曲者ではありますが、こつこつと覚えて使いこなせるようになると確実に会話力がUPして楽しくなってきます。
また、modo di direの中には地域や年齢層によって使う頻度が違うというものもあるので、そういうところも調べていくと面白いです。
私なりの調査ですが、「Che pizza!」の場合は、ローマ周辺での使用頻度が一番高いという印象でした。他の地域だと、意味は分かるけどあまり使わないとか、30歳以上の人が使う、などの差があるようでした。
「Che pizza!」を使ってみよう!
さて、「Che pizza!」は簡単なたったの2語でうんざり感を表現できるとはいえ、棒読みだと感情は伝わりにくいので、次のような場面を思い浮かべて下さい。
母がカレーを作りすぎたと言うので、2日連続でカレーを食べました。せっかく作ってくれたので、文句は言えません。しかし、3日目も食卓にカレーが出てきて、思わず「え、カレー…?!」と呟いてしまった。まさにそんな時の表情や声のトーンで「Che pizza!」を使うとしっくりくるかと思いますので、試してみて下さい!